株式会社服部工業は、掛川市を拠点に静岡県や愛知県で鉄骨建方工事・鉄骨鍛冶工事を手がける建設会社です。溶接技術は弊社の業務において重要な技術の一つであり、これまで多くの職人が溶接工としてのキャリアを積み重ねてきました。近年、建設業界では人材不足が深刻化している一方で、溶接工の需要は高まり続けています。
本記事では、溶接工を目指す方に向けて、必要な資格の種類から取得方法、そして未経験から一人前の溶接工になるまでのキャリアパスについて詳しく解説いたします。静岡県掛川市周辺で溶接工としてのキャリアをお考えの方にとって、実用的な情報をお届けします。
溶接工に必要な基本資格
溶接工として働くためには、業務に応じた資格の取得が必要です。労働安全衛生法により、溶接作業に従事する際は特定の資格や特別教育の修了が義務付けられています。まずは、すべての溶接工が取得すべき基本的な資格から解説します。
アーク溶接作業者(特別教育修了)
溶接工として最初に取得すべき資格が「アーク溶接等の業務に係る特別教育」の修了です。アーク溶接は電気を利用して高温の炎を作り出し、金属同士を接合する技術で、建設現場や工場で最も広く使用されている溶接方法です。
アーク溶接特別教育は試験ではなく講習形式です。学科11時間、実技10時間の合計21時間(3日間)の講習を受講することで取得でき、受講資格は18歳以上であることのみです。費用は1万円~2万円程度で、合格率はほぼ100%となっています。
ガス溶接技能者
ガス溶接技能者は、アーク溶接作業者と並んで溶接工の基本となる国家資格です。可燃性ガス(アセチレンなど)と酸素を使用して溶接・溶断作業を行うために必要な資格で、薄い材料の溶接や精密な作業に適しています。
受講内容
講習時間:学科8時間、実技5時間(合計13時間・2日間)
受験資格:特になし
費用相場:1万3,000円~2万2,000円
取得期間:2日間
専門性を高める上級資格
基本資格を取得した後は、より専門性の高い資格を取得することで、キャリアアップと年収向上が期待できます。建設業界では特に需要の高い資格をご紹介します。
溶接技能者(民間資格)
一般社団法人日本溶接協会が認定する資格で、JISやWES規格に基づいて溶接技能を評価します。建築鉄骨の製作工場認定の要件となることも多く、公的にも国際的にも認識されている重要な資格です。
資格の種類
手溶接技能者:アーク溶接・ガス溶接の基本技能
半自動溶接技能者:効率的な溶接技術
ステンレス鋼溶接技能者:高品質材料の溶接
基礎杭溶接技能者:建設業界特化
ボイラー溶接士
ボイラーや第一種圧力容器の溶接作業を行うための国家資格です。プラントや発電所での需要が高く、専門性が高いため高年収が期待できる資格の一つです。
普通ボイラー溶接士
対象作業:溶接部厚さ25mm以下、管台・フランジ取付
合格率:学科試験59.3%、実技試験64.5%
特別ボイラー溶接士
対象作業:すべてのボイラー・圧力容器溶接
合格率:学科試験70.3%、実技試験91.5%
管理者・指導者向け資格
経験を積んだ溶接工が目指すべき管理者・指導者向けの資格についてご紹介します。これらの資格を取得することで、現場での責任ある立場に就くことができます。
溶接作業指導者
溶接現場において作業指導や品質管理を行う上級資格です。満25歳以上で、溶接技能資格の保有と一定の実務経験が必要となります。
・満25歳以上であること
・溶接技能資格を保有していること
・一定の実務経験があること
・講習受講と学科試験に合格すること
金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習
2024年1月に新設された技能講習で、金属アーク溶接作業現場での作業主任者として選任されるために必要な資格です。6時間の講習と修了試験により取得できます。
溶接工のキャリアパスと年収推移
溶接工として未経験からスタートし、一人前のプロフェッショナルになるまでのキャリアパスと、各段階での年収目安をご紹介します。静岡県内の建設業界における実情も含めてお伝えします。
未経験者(0~2年目)
溶接工としてのキャリアをスタートする段階です。基本的な溶接技術の習得と、必要な資格の取得を行います。
年収・給与目安
初任給:月給15万円~20万円
年収:200万円~300万円
取得資格:アーク溶接作業者、ガス溶接技能者
主な業務:基本的な溶接作業、先輩職人のサポート
中堅溶接工(3~9年目)
現場経験を積み、難易度の高い溶接作業も任されるようになる段階です。専門資格の取得により、収入アップが期待できます。
キャリア発展期
月給:25万円~35万円
年収:350万円~500万円
取得資格:溶接技能者、ボイラー溶接士
主な業務:独立した溶接作業、後輩指導
「参照:溶接工の年収は安い?賞与・日当の相場や経験・年齢別の平均年収も紹介」
ベテラン溶接工(10年目以上)
高度な技術力と豊富な経験を活かし、現場の指導や管理業務も担う段階です。専門性の高い作業により、高年収が期待できます。
熟練期・管理期
月給:30万円~50万円
年収:450万円~700万円
取得資格:溶接作業指導者、作業主任者
主な業務:高難度溶接、現場管理、技術指導
静岡県・掛川市での溶接工の働き方
静岡県は製造業が盛んで、特に自動車産業や機械工業が発達している地域です。掛川市周辺でも、溶接技術を活かせる多様な職場が存在します。
建設業界での溶接工
鉄骨建方工事や鍛冶工事において、溶接技術は欠かせません。掛川市を含む静岡県西部地域では、住宅建設から工場建設まで幅広いプロジェクトが進行しており、溶接工の需要は安定しています。
静岡県では、東海道新幹線掛川駅を中心とした交通アクセスの良さから、関東・関西圏での出張工事も多く、出張手当により収入アップの機会があります。また、地域密着型の企業が多いため、長期安定雇用が期待できる環境が整っています。
製造業での溶接工
静岡県は自動車部品メーカーや精密機器メーカーが集積しており、これらの企業では溶接技術者が重要な役割を担っています。特に浜松市周辺には大手メーカーの工場が多数立地しています。
資格取得のための学習方法と費用
溶接工として成功するためには、計画的な資格取得が重要です。効率的な学習方法と必要な費用について解説します。
基本資格の取得方法
アーク溶接とガス溶接の基本資格は、各都道府県の労働基準協会や技術講習協会で受講できます。静岡県内では複数の会場で定期的に講習が実施されています。
費用の目安
アーク溶接作業者:1万円~2万円
ガス溶接技能者:1万3,000円~2万2,000円
溶接技能者:2万円~4万円
ボイラー溶接士:3万円~5万円
助成金制度の活用
人材開発支援助成金:企業が従業員の教育訓練を行う場合の助成
建設労働者確保育成助成金:建設業界特化の助成制度
教育訓練給付金:個人で利用できる制度
継続的なスキルアップ
溶接技術は実践によって向上します。資格取得後も、新しい溶接技術や材料に対応するため、継続的な学習が重要です。
溶接工の将来性と今後の展望
AI技術や自動化が進む中でも、溶接工の需要は安定しています。特に建設業界では、現場での細かな調整や複雑な形状の溶接において、人の技術が不可欠です。
厚生労働省の調査によると、溶接工の有効求人倍率は2.9倍と高い水準を維持しており、特に若手の溶接工は多くの企業から求められています。高齢化が進む業界において、技術を身につけた若い溶接工の価値は今後さらに高まることが予想されます。
技術革新への対応
ロボット溶接や自動化が進む一方で、設定・調整・仕上げ作業においては人の技術が必要です。新しい技術を理解し、活用できる溶接工がより価値のある人材となります。
まとめ
溶接工として成功するためには、段階的な資格取得と継続的なスキルアップが重要です。未経験から始めても、適切な資格を取得し、実務経験を積むことで、安定した収入と充実したキャリアを築くことができます。
静岡県掛川市周辺の建設業界では、溶接技術を持つ人材への需要が高く、地域密着型の企業での長期安定雇用や、関東・関西圏での出張工事による収入向上の機会も豊富です。
溶接工を目指される方は、まずアーク溶接作業者とガス溶接技能者の基本資格から取得を始め、経験を積みながら専門性の高い資格にチャレンジしていくことをお勧めします。技術と経験を積み重ねることで、年収600万円以上の高収入も十分に実現可能な職業です。